会計士が転職を考えるタイミングとは?いい転職の定義を現役会計士に解説してもらいました

公認会計士

転職は人生の節目となる大きなイベントですが、現在の職場や転職先に気を遣ったりなどを考え始めると、いつしていいものかを図りづらいものです。

そこで今回は、公認会計士として転職するのにふさわしいタイミングについて、現役の公認会計士KOYAMAさん監修の元、具体的かつ詳しく解説いたします。

公認会計士としての転職を考えている場合にぜひ参考にしてみてください。

公認会計士が転職を考えるべきタイミングは2つ

公認会計士として転職を考える場合に、最低限考慮したいタイミングは以下の2つです。

  • 周りに迷惑をかけないタイミング
  • 自分のキャリア形成を基盤としたタイミング

それぞれの項目について、以下から詳しく解説します。

【タイミング1】現在の組織や転職先に迷惑をかけないタイミング

日本には職業選択の自由が法律で定められているため、転職のタイミングは自分の好きに選んでも法的に何の問題もありません。

そんな中もし、会計士として転職することを考慮するのであれば、まずは自分がいま所属している組織に迷惑とならないタイミングで組織から離脱するべきだといえます。

例えば、明らかに自分も周りもたくさんの案件を抱えていて、ひとりでも欠けたら企業として機能しなくなってしまうような繁忙期の場合などは転職を避けるべきでしょう。

できるのであれば、半年ほど前に退職の意志を伝えるのがベストです。

業界が狭いこともあり、繁忙期にすぐ転職してしまうと「あの人は繁忙期にやめてしまうような人だった」などの悪評がたちかねません。

また、ボーナス支給後も狙い目です。

転職活動で経済的に困窮する可能性も限りなく減らすことができるためです。

また新しい従業員を受け入れる側の組織も同様に繁忙期を持っています。

このため、転職先が忙しくなく、中途採用に時間を割く余裕がある時期を狙いましょう。

これは、会計士に限らずいかなる職種からの転職にも言えることです。

公認会計士の場合は、四半期ごとにある往査繁忙期の間が転職時期の目安となります。

上記を踏まえ、転職先ごとにタイミングを見極めるのであれば以下のようになります。

【1】一般企業の場合の適切な転職タイミング

一般企業に転職する場合、経理・財務の担当者として入社するならば、年度末の業務繁忙期は4~5月です。

上場企業の場合は、四半期開示があるため年度末ほどではないものの四半期ごとに繁忙期があります。

経営企画・内部監査の要員として入社する場合は予算編成に取り組む2~3月が繁忙期となります。

それぞれ自分の希望職種に応じて、上記した時期を避けて転職活動にあたりましょう。

【2】コンサルティング企業の場合の適切な転職タイミング

転職先がコンサルティング企業の場合は、従業員や部署それぞれが顧客を抱えているため、顧客ベースでスケジュールが決まっていることに注意します。

このため現場により繁忙期はまちまちと言えるため事前準備を心がけましょう。

確実に繁忙期となるのは年度末であるため、まず年度末を外して転職活動に進むと良いでしょう。

【3】会計・税理士事務所の場合の適切な転職タイミング

会計・税理士事務所が転職先の場合は、確定申告の時期が繁忙期であるため転職活動を避けましょう。

採用活動自体を停止するケースも多く見られます。

確定申告の時期は毎年2~3月です。(※昨今のパンデミックなどの影響により、後ろ倒しになることもあります。)

ほか、一般企業の項目で触れたように年度末(3月末)決算・申告業務を委託されている事務所の場合やはり4~5月が、年末調整を請け負う場合は12月も繁忙期となります。

【4】監査法人の場合の適切な転職タイミング

会計士としての業務経験が豊富な場合、転職先を監査法人とすることも考えられます。

その場合は管理職の従業員が採用活動を担当することも多いため、四半期ごとにある往査繁忙期を避けましょう。

【タイミング2】実務経験年数:自分のキャリア形成を基盤としたタイミング

転職に向いたもうひとつのタイミングとは、自己のキャリア形成を軸として考えるものです。

具体的には、現在の組織にどれだけの期間、所属していたかが判断基準になります。

監査法人に所属していた場合、終了考査に合格し、公認会計士登録が終わる夏季までがベターな転職タイミングといえます。

これは、終了考査までの手厚い支援がある監査法人に所属すべきであること、独立の機会であることが理由として挙げられます。

終了考査前の就職2~3年目か、さらに7~10年経ったのちに転職する場合は相応の覚悟が必要となります。

前者の場合は経験が浅く、転職活動でそれなりの熱意ややりたいことをアピールできなければならないためです。

後者の場合は、組織や業界の慣習に疲れたといったネガティブな転職動機となりがちであり、面接官からもそのように見られがちであるためです。

また、現職が監査法人であるかどうかにかかわらず、一般企業への転職の場合は、若年層を企業の色に染めていくといった教育方針を持っていることも多いため、年齢がハンデとなることもあります。

その場合、ベンチャー企業への転職を考えることも手段のひとつです。

ベンチャー企業は単純に人手不足であり、給与計算、税務申告など手広く経理業務ができる人材を必要としていることが多いためです。

また、ベンチャー企業は近い時期のIPOを考えていることもあるため、公認会計士需要は高まります。

例えば、コーポレートガバナンスの整備や監査法人対応には公認会計士の助力が必要となるためです。

財務コンサルタントを転職先にする場合は、単純に公認会計士資格のみを要求されることが多くなります。

そこで、さらに将来的にCFOを目指すようなM&Aなどの会計知識を持つ人材が有望とされます。

もし、自分がそちらに興味がある場合、資格を持ってすぐに転職することも手です。

会計・税理士事務所も同様で、基本的に将来の独立のために「勉強」として入所するケースがほとんどであるため、少しでも給与が上がる公認会計士登録後に転職するべきでしょう。

このように、転職先の組織が必要としているスキル・経験を身につけられた状態での転職であれば、活動は順調に進む可能性が高くなります。

公認会計士登録後であれば、どの職場を選んだとしても年収面で何かと有利です。

会計士の転職タイミングは2つ。自分に有利になる状況を見極めよう

会計士が転職するのに良いタイミングを詳しく解説してきました。

会計士の転職に適したタイミングは、ひとつは周囲や転職先に迷惑をかけないタイミングです。

基本的に会計士であれば、現職の繁忙期がそのまま転職先の繁忙期となることもありますが、転職先ごとに繁忙期が異なる場合もあるため、入念な業界研究や下準備を重ねたいところです。

もうひとつのタイミングは、自身のキャリア形成に関わるものです。

転職先では当然これまでの業務と異なる内容を提示されることもあるため、少しでも自己のスキルが活かせる分野を狙いましょう。

ベンチャー企業などでは仕事内容が多岐にわたることもあり、やりがいに繋がるかもしれませんが資本力に乏しいため待遇が少し下がる可能性もあります。

基本的には自分のやりたいことに応じて、公認会計士登録をした3年目ごろが転職スタートの目安と言えるでしょう。

転職のメリットとデメリットを見極め、納得できる状態で活動に励んでください。

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